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ガラス瓶の中のおばけ

  
  昔読んだ童話(グリム童話だと思う)に
  罰でガラス瓶の中に閉じ込められたお化けの話しがあった。

  このお化けは、ガラス瓶の中で思う。
  「俺をここから出してくれる人がいたら
   その人を大金持ちにしてやろう。」
  しかし、100年たっても出してくれる人はいなかった。
  次に、お化けは思う。
  「俺をここから出してくれる人がいたら、
   その人の願いをなんでもきいてやろう。」
  しかし、200年たっても やはりそこからだしてくれる人はいなかった。
  お化けは、絶望の中で怒りとともに決心する。
  「俺をここから出してくれるヤツがいたら
   そいつを殺してしまおう。」
  ちょうどそこへ通りかかった木こりが、
  ガラス瓶の中で哀れな声で懇願するお化けを見つけ、
  その栓を抜いてガラス瓶から出してやった。
  お化けは、たちまち大きな大入道となり、
  木こりの命を奪おうとする。
  木こりは驚いて、
  「わたしはあなたを狭い瓶の中からだしてあげたのに
   どういうことですか。」
  と、聞くと、お化けは、さっきの決心にいたったいきさつを語る。
  木こりはそれを聞いて、
  「それだったら仕方ない。 わたしの不運です。
   ですが、一つだけ教えてください。
   あなたのようなおおきな大入道が
   あの小さなガラス瓶の中に入っていられたなんて
   わたしには信じられない。
   死ぬ前に、どうかもう一度入ってみせてくれませんか。」
  「そんなことはお安い御用だ。」
  大入道は、するするっと小さくなってガラス瓶の中に入った。
  そこで、木こりは、さっとガラス瓶の栓を閉めてしまった。
  驚いたお化けは、
  「出してください、出してください。
   あなたに素晴らしい宝物を差し上げます。」
  「ばかなことを言っちゃいけない。
   もうだまされるもんか。」
  「今度はうそじゃありません。本当です。」
  あんまりお化けが哀れな声を出すので
  木こりは、もう一度お化けをガラス瓶の中から出してやる。
  お化けは大喜びでお礼を言って
  木こりに宝物を与える。
  その宝物で木こりは しあわせになる。

  覚えているのはここまでで、
  あたえられた宝物がなんだったのかは記憶にない。
  グリム童話を探してみると
  よく似た話しがあって
  その話しでは、
  ひと振りすれば
  どんな傷でも病気でもたちどころに治る
  テーブルクロスのようなものをもらって大成功するようだ。

  だが、わたしが、興味があるのはそこではなくて、
  このお化けの気持ちの変化である。
  こども心に、
  そんな理不尽ことがあるもんか、
  いくら待ちくたびれたからといって
  そんな気持ちになるもんなんだろうか、と思っていた。
  でも、もう20年も前になるが、
  似たような気持ちになったことがあったのだ。
  まだ、結婚して間もなかった頃、
  帰ってくるはずの時間に夫が帰って来ず、なんの連絡もない。
  (もちろん、その頃には携帯電話なんてものはない)
  もう心配で心配で、
  事故にあったのだろうか、救急車で運ばれてるのではないだろうか、と
  いてもたってもいられないくらい不安になり、
  うろうろと部屋を歩き回ったり
  チャイムがなるのを玄関に座って待ってたりした。
  深夜3:00をすぎた頃、
  突然わたしの気持ちに変化が起こった。
  ええ加減にせえよ、と。
  連絡でけへんはずないやろ、どういうことやねん。
  相手のことを心配していた気持ちのどこか片隅に、
  怒りの感情が混ざってきた。
  その時、わたしは、
  こどもの頃に読んだこの童話を思い出した。
  そうか、あのお化けは、こんな気持ちだったのか。

  お化けの感情を正当化するつもりはないし、
  やはり理不尽なことだと思う。
  でも、全く理解できなかったお化けの気持ちの変化が、
  わからんでもないな、と思った。

  そういうもんかもしれない。
  「待つ」ということは、そういうことかもしれない。

  午前3:30過ぎに、玄関のチャイムが鳴った。
  居酒屋で急性アルコール中毒症を起こしかけた友人を
  救急病院へ運んで介抱し、
  家まで送り届けてきたらしい。
  長く心配していたこと、
  すきにしたらええやないか、とちょっと怒っていたこと、
  すべてを忘れて 
  ああ、よかった、と心からほっとした。

  しかし、あれ以後、
  わたしは、自分もお化けとおなじなんだな、と思うようになった。

  「待つ」というのは、そういうことかもしれない。
  「待つ男」で、あんなに叫んでいるのは、そういうことなのかもしれない。
  そして、今、わたしたちも、
  いろんな感情の中で、「待」っているのだ。
     
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2013-02-22 : 徒然なるまま :
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